INTERVIEW #01

消化器内科指導医

副院長
(兼)救急総合診療部長
深瀬和利

現在の診療科の紹介、診療内容等お聞かせ下さい。
私は副院長と救急総合診療部長を兼任していますので、管理職の仕事と救急を主に担当しています。専門は消化器内科で、他に3名の消化器内科医が当院にはおりますが、内視鏡診療(内視鏡検査、治療)にも携わっています。
環境としての河北病院の魅力は?
河北病院へ赴任する前は、山形県立中央病院に23年間おりまして、そこは660床の巨大な病院でした。河北病院のメリットとすれば、非常にコンパクトで、非常にコミュニケーションが取りやすいという点。各科の連携や、何かあってもすぐ気軽に相談できるという適度なコンパクトさが、河北病院のメリット、魅力だと思います。

──研修医を指導する際に心がけている事は?──

新しい制度になり研修期間が非常に短いので2、3ヶ月の間に何をやりたいのか、例えば消化器内視鏡の分野でしたら、自分で胃カメラが挿入ができて、胃の観察ができるようになるとか、とにかく何か目標を立て、それを実現できるように頑張る。そのようなモチベーションを与えられるような話をしています。あとは、受け持ちの患者さんは必ずいるわけですので、ベッドサイドにまめに行くこと。可能であれば朝行って、日中検査の合間に行って、あと夜自分が検査等が終わったら行きなさいと、指導しています。今の若者は、あまり貪欲さがないというか、自分が自分がという主張する人間が非常に少ないと感じます。どちらかというと「積極型」ではなく、我々の決まったプログラムを従順にやっていくような、「受身型」のタイプが増えてきている気がします。賢いことは良いことです。人と人とのコミュニケーションを取ることが下手だとか、そういうところでは昔より色々、アドバイスなり指導する方でカバーリングをしなければならないことが増えてきたと思います。

研修医時代の指導医との
エピソードを教えて下さい

───指導医の先生には非常に感謝しています
私は自治医大卒で、授業料などお金がかからないがその代わり、それぞれの出身県に戻って9年間働きなさい、うち半分は僻地勤務をしなさいという、ある意味特殊な大学でした。消化器内科を志したわけですが、3年目の後期研修が終わったころ、内視鏡スキル、自分のスキルが上達したところで、田舎に出なければならない。同じ学年の医師の消化器内科だけをひたすらやっている人間から比べると自分のスキルが落ちるというか、差をつけられるのではないかという、非常に強い危機感がありました。週に1度は県立中央病院へ後期研修に来ていたのですが、当時の指導医の先生にお願いして許可をいただいて、治療内視鏡、胃がん内視鏡切除を一生懸命やっていました。学位もそれで取得したのですけれど、午前中治療内視鏡をやって、切り逃げごめんというか、その後出血などもありえないわけではないのですが、全部指導医の先生にその後の面倒を見ていただいたという環境で、後期研修を数年間過ごさせてもらいました。そういう点では、指導医の先生には非常に感謝しています。自分の内視鏡のスキルを落とすことなく田舎の勤務もできましたので。
───上達ばかりではない、必ず足踏みがある
スランプはある。ある程度技術は右肩上がりで伸びますが、どこかで必ず足踏みがあります。そこで自分で考えて、上級医の考え方や手技を学び上級医からアドバイスを受けて、そしてまた伸びていく。スポーツも同じかと思いますが、そのようなことが大事だと思います。どんどん上達するばかりではなく、必ず足踏みがあって、そこで自分なりの何か味付けしないとダメですね。工夫をしないとダメなんだと自分で気付くか、気付かないかによって、その後の伸びしろが大きく違ってきます。どの分野でも同じだと思います。

研修先として病院を
選ぶときのポイントは?

──クリニカル・インディケーター──

症例数が多いかどうか。病院のクリニカル・インディケーターとしてホームページ等で誰でも見ることができるので、症例数の多さや、その病院の先生がどれだけ仕事をしているか、学会でどれだけ発表しているか、国内の学会、海外の学会でどういう内容で発表しているか、どれくらいの数を発表しているか、論文をどれくらい書いているかを調べることは大切です。そのように一生懸命やっている先生は、何に対しても一生懸命なので、指導することに対しても一生懸命なはずです。そういう点から、クリニカル・インディケーターは一つの指標になると思います。今は、単独医療ではなくチーム医療の時代です。例えば内視鏡治療だとすると、複数の医師と看護師、内視鏡技師がチームでやるわけですが、コンビネーション良くやっているかどうか。ケンカしながらやっているところはないと思いますが、うまく円滑に行っているかどうかというところも一つのポイントだと思います。積極的に力を合わせてやっているところが見えれば、良い施設だと思います。

MESSAGE

最後に、後期研修医へのメッセージ

私の場合でしたら、早期胃がんを早い段階で内視鏡で発見し、開腹せず内視鏡的切除で治し、侵襲度の低い治療で対応できるようにとにかく努める。そのために自分の技術、診る目、治療手技を全部高めていかなくてはならないし、そういう意味で1人1人の患者さんに真摯に向かい、できるだけ早い段階で治して差しあげる。今常識とされていることが実は常識ではないかもしれない、新たな発見があるかもしれない。ピロリ菌の除菌だったらもっと良いものがあるかもしれないなど、患者さん1人1人のデータを大切に解析して、論文にする。大きな学会で発表し、そして得られた新たなデータを、世のため人のために還元するということがすごく大切だと思っています。私は現在でも国際学会で発表し、優秀演題賞などもいただいています。ピロリ菌の除菌の患者さんのためにと2008年のランセットに論文を載せました。ピロリ菌を除菌すると胃がんの発生が約1/3に抑制される。このデータを元に2013年から慢性胃炎の方に対して、内視鏡をやっていればピロリ菌の除菌が保険で可能という適応が広がりました。このように、仕事をきちんとまとめて世に発表することにより、治療の保険適応が広がったり、その恩恵を受ける人が増えるわけです。だから、毎日努力を続けていくことです。そして私自身がもちろん心がけていることですが、1人1人の患者さんを大切にして毎日の診療にあたって欲しいと思います。